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家に眠っている花瓶や壷は売れる?
多くのご家庭で「珍しいものかもしれない」と大切に保管されている花瓶や壺。一見すると美術品のような佇まいですが、現代では需要が少ない商品の代表格となっています。その背景には、現代の住環境と当時の生産事情が深く関係しています。
1. 現代の住環境が生んだ「飾る場所の消失」
花瓶や壺の需要が減少した理由の一つに、住まいの変化です。
- スペースの縮小と洋室化: 昔の家に比べ、現代の住まいは狭くなり、空間を最大限に活用する設計が主流です。
- 床の間の減少: 伝統的な日本家屋の象徴であった床の間(掛け軸や花瓶を飾るためのスペース)を持つ家が激減しました。
- 飾る文化の衰退: 昔ながらの大きな花瓶や壺は、その存在感ゆえに広い空間を必要とします。飾るべき床の間がなくなり、代わりに小さな家具や実用的な収納スペースが増えたことで、大きな壺や花瓶を飾る人が減ってしまったのです。
2. 「珍しい」ようで「よく出てくる」商品の多さ
多くの家庭から出てくる花瓶や壺は、一見めずらしいように見えますが多く出回っているため、希少性が低いと判断されがちです。
特に、昭和時代に大量に生産された陶磁器は、この傾向を強めています。
- 昭和時代の大量生産: 昭和時代は九谷焼が最も多く作られた時期の一つです。
- 引き出物文化の影響: 当時、九谷焼などの陶磁器は、結婚式や新築祝いなどの引き出物や記念品として、多くの人に配られました。
- 供給過多: その結果、流通量が非常にたくさんある状態となり、現代の市場において「希少性」が伴わないため、個々の商品にお値段をつけるのが難しくなっています。
花瓶・壺の買取査定ポイント:「箱の有無」と「時代の重み」
ご家庭に眠る花瓶や壺の市場価値は、その時代背景や希少性に大きく左右されます。特に買取の現場では、**「箱があるかどうか」という保存状態と、「いつの時代のものか」**という年代が重要な判断基準となります。
1. 昭和時代の花瓶と「箱の有無」
昭和時代に作られた多くの花瓶で箱が無いものは評価が難しいケースが多いとされています。この時代、記念品や引き出物として大量に作られた製品は流通量が多いため、希少性に欠けるためです。
- 木箱がない場合:
- 昭和時代のもので、木箱に入っていない(作家名などの情報がない)無銘の花瓶は、その多くが一般的な製品とみなされ、査定額が難しい場合が多々あります。
2. 時代を遡るほど価値が増す「箱なし」の品
一方で、時代が古くなるほど、箱がないことのマイナス評価は薄れます。
- 明治時代やそれ以前の古い花瓶は、その歴史的価値や当時の技術の希少性自体が重視されるため、箱が無くてもお買取り可能なことが多いです。
- 古い時代のものであること、そしてその時代の様式や素材の価値が、箱という付加情報を上回ると判断されるためです。
3. 例外:時代を超えて価値を持つ「有名作家」の力
昭和時代の花瓶であっても、高値で取引される「例外」があります。それは、**「有名作家の作品」**である場合です。
- 有名作家のお品:
- 昭和時代の花瓶でも売れるものは、人間国宝や、国内外で高い評価を得ている有名作家のお品です。
- 作家の持つブランド力、芸術性、そしてその作品の完成度が、時代や一般的な市場の需要を超越した価値を生み出します。
💡 買取に有利な花瓶の見分け方
ご自宅の花瓶や壺を査定に出す際は、以下のポイントを参考にしてください。
- 古い時代(大正・明治以前)の品は、箱がなくてもまずは査定を。
- 有名作家の銘があるお品は、昭和時代のものでも価値がある可能性が高いです。
- 昭和時代の無銘で木箱のない花瓶は、残念ながらお値段が難しい傾向にあります。



