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現代における着物市場の「光と影」:受け継がれる美と、変化する価値

現代における着物市場の「光と影」:受け継がれる美と、変化する価値

日本の伝統的な衣装である「着物」。その優美な姿は、古来より日本人にとって特別な意味を持ち続けてきました。しかし、現代社会において、着物は大きな転換期を迎えています。需要の減少、サイズの課題、そして価値観の変化は、着物市場全体に影を落としています。

1. 減少する「着る」文化と需要の低迷

まず、着物市場が直面する最大の課題は、着物を日常的に「着る」文化の減少です。

  • 需要の低迷: 現代人のライフスタイルにおいて、着物は特別な日の衣装という位置づけになりつつあり、全体の需要は少なくなっています。
  • 価値の目減り: 以前は高額で取引されていた有名作家の作品であっても、市場の需要が下がっているため、買取価格が下落傾向にあるのが現状です。

2. サイズの問題:現代の体型に合わない「昔の着物」

次に、着物を流通させる際の現実的な壁が、サイズの問題です。

  • 体型の変化: 昔の日本人は現代人に比べて小柄な方が多かったです。そのため、譲り受けた古い着物をそのまま着用しようとすると、袖丈や身丈が短く、お直し(仕立て直し)が必要になるケースが多々あります。
  • コストの発生: お直しには手間と費用がかかるため、それが流通のハードルを高める一因となっています。

3. 高く評価される「希少性」と、評価が難しい「昭和の着物」

着物の「買取」という観点から見ると、時代や素材によってその価値は大きく異なります。

  • 高値で取引される着物: 買取において価値がつきやすいのは、明治時代やそれ以前の古い縮緬(ちりめん)など、アンティークとしての希少性が高いものです。これらは素材自体の価値や、その時代の染織技術の歴史的価値が評価されます。
  • 価値が難しい昭和時代の着物: 一方、一般に流通量が多かった昭和時代の着物は、残念ながらお値段をつけるのが難しい場合が多々あります。これは、大量生産の着物が増えたことや、現代の需要とのミスマッチが要因となっています。

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