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買取が難しい家具3選 ― 時代とともに変わる暮らしのかたち

買取が難しい家具3選 ― 時代とともに変わる暮らしのかたち

家具には、それを使っていた人々の暮らし方が映し出されています。ある時代には欠かせなかったものが、生活様式の変化によって役目を終えていく――そんな光景は、私たちの身の回りでも少なくありません。リユース市場で注目される家具がある一方で、どうしても買取が難しい家具も存在します。今回は、竜宮堂が実際に扱う中でも「再販が難しい家具」とされる代表的な3つをご紹介します。

座卓 ― 和の団らんを象徴するあの風景

昭和の家庭といえば、正座をして座卓を囲んで家族が笑顔を交わす光景を思い出す人も多いでしょう。日本の暮らしに深く根ざしてきた座卓は、かつてどの家庭にも一台はあったものです。低い座面に合わせて配置され、食卓や団らんの場として重宝されてきました。

しかし、現代の住宅事情は大きく変わりました。床に座る生活から、イスやソファを使う洋風スタイルが主流となり、低い座卓の出番はほとんどなくなっています。

とはいえ、例外もあります。花梨(かりん)の木材を使った座卓は、木目の美しさと職人の丁寧な手仕事が評価され、アンティーク家具として価値を保つ場合があります。

衝立(ついたて) ― 空間を彩る伝統のしつらえ

部屋の一角にさりげなく置かれた衝立。部屋を仕切り、視線を遮るだけでなく、和室を美しく演出する装飾品としても重要な存在でした。来客用の応接や、茶室の背景などに使われた衝立は、日本建築の美意識を象徴する家具のひとつといえます。

ところが、現在では和室を持つ住宅自体が減少し、衝立を置くスペースや用途が限られてしまいました。シンプルな木枠や無地のデザインのものは、残念ながら需要も低いのが現状です。

ですが、花梨の木材を使ったもの、あるいは中国図や螺鈿の装飾ある衝立は、需要があります。

桐箪笥 ― 嫁入り道具から思い出の家具へ

日本の家庭において、桐箪笥は長らく“嫁入り道具”の象徴でした。湿気に強く、虫害を防ぐ性質を持つ桐は、着物や貴重品を守るための理想的な素材として重宝されてきました。結婚の際に新調され、長く使われることを前提とした家具には、家族の歴史がしっかり刻まれています。

ところが、時代の移り変わりとともに、桐箪笥の役割も薄れていきました。クローゼット付きの住宅が主流になり、和服を持つ人も減少。特に一般的な小型の桐箪笥や装飾の少ないタイプは、使い手が見つかりにくくなっています。

竜宮堂でも、桐箪笥の買取は難しいのが実情です。それでも、その一棹には確かな技と温かな思い出が宿っています。もし手放すことを考えるなら、DIYや修理を通じて別の形で受け継ぐのもひとつの方法かもしれません。

座卓は家族の絆を象徴し、衝立は空間の美を演出し、桐箪笥は家族の記憶を守りました。どれも日本人の暮らしを支えてきた、静かな文化遺産です。

竜宮堂では、そうした“古いけれど価値のあるもの”を正しく見極め、文化を未来へとつなぐ買取を心がけています。

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