玉手箱コラム

2025.04.10

◆骨董コラム◆古九谷:日本が誇る希少な陶磁器の魅力

古九谷の歴史と特徴

古九谷は日本の伝統的な陶磁器・九谷焼の中でも最古の時代の作品を指す言葉です。江戸時代初期に石川県で生まれ、わずか50年ほどの短い期間で消えた謎多き磁器です。大胆な色彩と力強い絵付けが特徴で、現在では美術品として高く評価されています。この記事ではわかりやすく古九谷の魅力をお伝えします。

古九谷の誕生と歴史

古九谷の歴史は約350年前にさかのぼります。以下にその始まりから衰退までをまとめました:

  • 始まり(1655〜1657年頃):加賀藩支藩の大聖寺藩初代藩主・前田利治が、南加賀の九谷村で磁鉱(陶石)が発見されたことを知りました

  • 技術の導入:前田利治は金工師だった後藤才次郎に色絵磁器を焼くことを命じました

  • 技術習得の旅:後藤才次郎は備前有田(現在の佐賀県)へ技術を学びに派遣されました

  • 生産期間:約50年間にわたり九谷村から数々の名品が生み出されました

  • 突然の終焉:元禄末期(1700年頃)に突如として生産が途絶えました

古九谷は江戸時代初期に加賀藩の支藩である大聖寺藩の藩主・前田利治の命により始まりました。九谷村で陶石が発見されたことが、この美しい焼き物の誕生のきっかけとなりました。後藤才次郎という金工師が有田で技術を学び、九谷で窯を開設したことで古九谷の歴史が始まります。しかし、わずか半世紀ほどで突然生産が途絶え、その理由は今日まで明らかにされていません。これが「古九谷のミステリー」と呼ばれる所以です。

古九谷の芸術的特徴

古九谷は他の陶磁器と比べて独特の美的特徴を持っています:

  • 五彩の使用:紺青、紫、黄、緑、赤の「九谷五彩」と呼ばれる鮮やかな色彩を使用しています

  • 豪放な筆致:絵付けははみ出さんばかりの大胆で力強い筆致が特徴です

  • 画題の多様性:花鳥風月、山水、人物などが主なモチーフです

  • 芸術的影響:当時全盛を誇った狩野派を中心に、土佐派や大和絵、中国明末期の木版画風の様式を取り入れています

  • 骨描きの技法:彩色前に墨で輪郭線を力強く引く「骨描き」という技法が特徴です

  • 青手の技法:「青手古九谷」と呼ばれる作品群では、赤を使わず黄、緑、紫の三彩か、紺青を加えた四彩で全面を塗りつぶす「塗埋手」という技法を用いています

古九谷の魅力は何といってもその大胆かつ力強い絵付けにあります。九谷五彩と呼ばれる鮮やかな色彩を惜しみなく使い、豪快な筆致で描かれた絵柄は見る者を圧倒します。狩野派などの当時の絵画様式の影響を受けながらも、独自の表現を確立した古九谷は、現代でも「柿右衛門」「鍋島」などと並ぶ高級美術品として評価されています。特に青手古九谷と呼ばれる赤を使わない作品群は、全面を色で埋め尽くす「塗埋手」という独特の技法で作られ、後の九谷焼にも大きな影響を与えました。

突然の廃窯と謎

古九谷が突然姿を消した理由については、いくつかの説があります:

  • 廃窯の時期:元禄末期(1700年頃)に生産が途絶えました

  • 謎の廃窯:なぜ突然生産が終わったのかについては諸説あります

  • 資料の不足:事情を語る文献資料が残されておらず、理由は現在も謎とされています

  • 短い歴史:わずか40〜50年ほどで窯が閉鎖されました

古九谷は約50年という短い期間で突如として姿を消しました。陶石の枯渇説や技術者の死亡説など様々な説がありますが、確かな文献資料が残されていないため、その真相は謎に包まれたままです。この謎の廃窯から約100年後、九谷焼は「再興九谷」として復活し、現在に至るまで発展を続けています。しかし、この「謎の50年」が生み出した古九谷の作品は、その稀少性と芸術性から今なお多くの人々を魅了し続けています。

古九谷の現代的価値

短い歴史を持つ古九谷ですが、その価値は時代を超えて高く評価されています:

  • 美術的価値:「柿右衛門」「鍋島」などと並ぶ美術品として高く評価されています

  • 稀少性:生産期間が短く、現存する作品数が限られているため希少価値が高いです

  • 芸術的影響:後の「再興九谷」に大きな影響を与え、日本の陶磁器芸術の発展に貢献しました

  • 国際的評価:「ジャパンクタニ」として国際的にも高い評価を受ける九谷焼の原点となりました

古九谷は江戸初期のわずか50年間という短い期間に生み出された芸術ですが、その大胆な色彩と構図、力強い筆致は、今日の目で見ても非常に魅力的です。限られた数しか現存していない古九谷は美術品として高い価値を持ち、多くのコレクターや美術館に所蔵されています。また、古九谷の伝統は、約100年後に再興された九谷焼に引き継がれ、日本を代表する陶磁器として世界中で愛されるようになりました。古九谷の魅力は、350年の時を経た今でも色あせることなく、私たちの心を捉えて離さないのです。

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